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2018/05/16
萬葉花壇だより ―幻の花―

成城池のほとりの萬葉花壇に、初夏の花が咲き出しました。
萬葉花壇は『成城国文学』第33・34号の編集後記にも書いたように、小島孝之先生が寄贈してくださった萬葉集ゆかりの山野草を植えた花壇です。成城学園管財課が管理をしてくださっています。
成城池の文連ハウス側に日向花壇、中の島の橋の近くに日陰花壇があります。日向花壇ではシラン、日陰花壇ではササユリとヤマアジサイのシチダンカ(七段花)が咲いています。
シチダンカは今年初めて花を付けました。とても小さく繊細で、精巧な紙細工のような花です。シーボルトの『日本植物誌』に紹介されていますが、それ以後日本で誰も実物を見ることがなく探し続けていたところ、昭和34年(1959)に六甲山で発見されたそうです。そのため、シチダンカは「幻の花」と呼ばれているのだそうです。

あぢさゐの八重咲くごとく八つ代にをいませ我が背子見つつしのはむ

(橘諸兄、『萬葉集』巻第20、4448)

 

左から、シチダンカ、ササユリ、シラン

 

(小林)